TOP INTERVIEW

「3つの日本一」の実現と、
新たなフィールドでのビジネスの創出
その挑戦に向けて、一人ひとりの社員が
自らの付加価値を高めていく

VISION ビジョン

なぜ、私たちは「3つの日本一」を目指すのか?

 東急沿線には、渋谷をはじめ自由が丘、二子玉川、横浜などいくつもの個性豊かな街が存在し、500万人を超えるお客さまが暮らしています。この沿線こそが東急グループが展開するビジネスの基盤であり強みであることは言うまでもありません。

 当社では、2022年に迎える創業100周年を見据え、新たな成長に向けてこれら沿線におけるビジネスの深耕に取り組んでいます。その目指すべき姿として「選ばれる沿線であり続ける」と「ひとつの東急」という2つのビジョンを掲げています。

 しかし、「選ばれる沿線」といっても、なかなか具体的なイメージを描くことは難しいかもしれません。そこで私は、2011年4月の社長就任当初から「3つの日本一」という目標を掲げています。

「安心」「便利」「快適」の3つの価値を求めて

 1つ目の日本一は、東急沿線を「日本一住みたい沿線」にすることです。おかげさまで、東急沿線は駅施設の充実はもとより、教育レベルの高い学校や医療機関も充実していて、子育てがしやすく、暮らしやすい街として高い評価をいただいています。それを「日本一」に高めていくためには、このようなお客さまに安心して暮らしていただくための環境づくりにさらに力を注いでいかなければなりません。

 「安心」に加えて、「便利」と「快適」も日本一を目指すためには欠かせない価値でしょう。子どもからシニアまで沿線で暮らす幅広い層のお客さまが利用できる総合カルチャースクールやフィットネスクラブなどは、これらの価値を生み出していくための大切な生活サービスだと考えています。また、駅直結の学童保育施設など、交通やリテール、生活サービスといった東急グループが進める事業が一体となった取り組みも重要です。

 これらの事業は、経営的な視点から見れば大きな利益に結びつくものではないかもしれません。しかし、このような生活サービスが充実すれば、「住みたい」と思っていただけるお客さまが増加し、やがて鉄道や不動産など主力事業の利益向上にも結びつきます。したがって、「住みたい沿線、日本一」を目指すためには、目先の利益にとらわれることなく、長期的な視点に立って取り組むことが大切である、と私は考えています。

エンタテイメントにこそ渋谷の真価がある

 2つ目の日本一は、私たちの本拠地である渋谷を、「日本一訪れたい街」にすることです。当社は、この渋谷エリアにおいて、2012年に開業した「渋谷ヒカリエ」に続いて、渋谷駅を中心とした大規模な再開発プロジェクトを進めています。2014年8月から本格的な工事に着手しており、今後10年以上にわたって渋谷の街は大きく変貌をとげていきます。

 このような新しい街づくりにあたって、私たちが掲げているコンセプトが「エンタテイメントシティSHIBUYA 」です。ファッションはもちろん、「Bunkamura」をはじめとする文化施設、その数日本一といわれるライブハウス、数多くの映画館など、渋谷には実に多彩な「エンタテイメント」が集まっています。私は、これこそが渋谷の最大の魅力だと思っています。「エンタテイメント(entertainment)」とは、そもそも「enter(~の間)」+「tain(保つ)」が語源。この人と人の間をとりもつ「エンタテイメント」を鍵に、東京の他の街との競争といった狭い視野ではなく、渋谷ならではの魅力をどこまでも深掘りして独自の価値を創造していきます。

 現在進める再開発プロジェクトにおいて、2019年度に230mもの超高層ビルとなる渋谷駅街区東棟の開業が予定されています。この渋谷随一の高さとなるビルの屋上に、屋外にも出られる展望台の設置を計画しています。東京の街並みを一望し、遠くには富士山、足元にはスクランブル交差点が眺められるこの展望台は、近い将来、世界的な観光名所になるはずです。これは渋谷ばかりでなく、沿線においても共通するテーマですが、日本ばかりでなく、世界中の人々を魅了する街づくりを目指しています。

 また、ビジネス面に目を向けると、渋谷には、ITやクリエイティブなどの分野の企業が集積するという特長があります。今後はこの集積がさらに加速するようなビジネス機能の充実を図り、渋谷に集う新進のベンチャー企業とも手を携えて、エンタテイメントに限らない渋谷ならではの価値を発信していきます。

 そして3つ目の日本一は、二子玉川を「日本一働きたい街」にすることです。最近、ITの発展などによってオフィスを取り巻く環境が大きく変わろうとしています。このような時代の動きとともに、「職・住・遊」が近接した二子玉川が「働きたい街」として注目を集めています。当社では、この街で大規模な再開発事業「二子玉川ライズ」を開発、運営しており、すでに日本を代表するIT企業が本社を移転してくるなど、新たな風が吹き始めています。

 ビジネスプレゼンテーションにも利用可能なスタジオやシネマコンプレックス、海外から出張してくるお客さまのためのロングステイ機能を備えたホテルを備えるなど、今後も、「職」を意識した独自の街づくりに力を注いでいきます。

 このように、渋谷、そして二子玉川といった沿線を代表する街が新たな魅力を放つようになれば、当然、沿線そのものの価値も高まり、私たちが掲げる「選ばれる沿線であり続ける」というビジョンの実現につながっていくのです。

シナプスで結び合うような「ひとつの東急」として

 今お話しした「二子玉川ライズ」のプロジェクトでは、当社をはじめ東急不動産や東急ホテルズ、東急レクリエーションなど、実に20社以上のグループ会社が連携しています。街づくりのすべてに及ぶ総合力は、東急グループならではの強みです。

 もうひとつのビジョンとして掲げる「ひとつの東急」は、このグループの在り方を変革することによって、総合力をさらに高めていこうというものです。これまで東急グループのネットワークは、どちらかというと当社を起点にツリーのように広がる垂直型で、グループ会社同士の水平方向の連携が円滑に進まないという傾向がありました。これからは、1つの円の中に、当社を中核にしてグループ各社が広がるような有機的なネットワークを目指していきます。私が思い描いているのは、シナプスでお互いが結び合う神経細胞のようなイメージです。グループ会社それぞれの業績については、時代やマーケットの動きなどによって変動もあるでしょう。そんな変動もお互いにフォローし合いながらグループが1つの円となって、グループ全体の成長としてその円を外側へと大きく広げていきたいと考えています。

未来を見据え、新規ビジネスに挑んでいく

 未来への成長に向けてグループのパワーを高めていくためには、新しい事業の創出も欠かすことのできないテーマであると思います。2016年4月の電力小売市場の自由化にあわせて設立した「東急パワーサプライ」は、そんな私たちのチャレンジのひとつです。沿線のお客さまにリーズナブルな電気サービスを提供していくとともに、グループ各社が手がけるサービスとも複合させて、より便利で快適な暮らしをサポートしていきます。

 2015年11月には、共同出資による空港運営会社「仙台国際空港」を設立し、2016年7月1日に国管理空港民営化第一号として運営を開始しました。

 私は、この会社の設立において「国際」という言葉にあえてこだわりました。今後、訪日外国人の拡大に伴い、成田や羽田などを経由することなく地方都市の空港に直接発着する観光客の増加が予想されます。その世界と東北エリアを結ぶハブとなる空港が仙台国際空港なのです。さらに北海道新幹線の開通によって、北海道もその視野に入ります。

 インバウンド需要の取り込みによる地方都市の活性化をはじめ、この新会社で蓄積するノウハウを生かして、新しいビジネスのネットワークを広げていきたいと考えています。

沿線から世界へ。東急ならではの街づくりを

 当社が推し進めるグローバル戦略には、大きく2つの流れがあります。ひとつは、世界から訪れる外国人を沿線に誘致し新しいビジネスにつなげるインバウンド。そしてもうひとつは、交通や都市開発、生活サービスなど、日本での蓄積を生かして世界でビジネスを展開するアウトバウンドです。現在、ベトナムとオーストラリアにおいて、東急グループならではの街づくりに取り組んでいます。

 ベトナムでは、ホーチミン市の北部に位置するビンズン省で、同国では最大級規模となる都市開発を進めています。すでにファーストプロジェクトとなる高層タワーマンションや商業施設が完成するなど、異国の地で私たちが手がける新しい街が生まれつつあります。 また、都市開発ばかりでなく、タイや中国では生活サービス分野でも新しいビジネスにチャレンジしています。

 このようなグローバル展開には、世界という広大なフィールドで新たなビジネスを開拓する一方で、私たちが沿線で培ってきた知恵や経験を生かしてその国の社会や暮らしに貢献していくという魅力があります。私たちが得た利益を再投資することで地域がさらに発展していくという良いスパイラルも生まれます。そのためには、沿線での街づくり同様に、長期的な視野による事業展開が求められます。これから入社してくる、グローバルに活躍したいという意志をもつ若い人たちにとって、チャンスは無限にあると思います。

PERSON 人材論

自ら仕事を創り出していく起業家マインド

 このように当社は、沿線において3つの日本一を目指す一方で、国内外の新しい領域で果敢なビジネスにチャレンジしています。その革新とともに、ビジネスの原動力となる人材についても求める理想像が変わりつつあります。

 では、いったいどのような資質が大切なのでしょうか? 最近、私が常に口にしているのは「起業家マインド」です。私は、ビジネスをよく「井戸掘り」にたとえます。将来に向けてビジネスの種を発想したり着想したりするのは、地下にある水脈を見つけたに過ぎません。事業はここからが正念場です。数々の困難に立ち向かい深い水脈まで掘り続け、その水を汲み上げて事業として実現していかなければならないのです。

 新興国での街づくりにおいても、日本における新規ビジネスの立ち上げにおいても、私たちが求めるのは、このひるむことのない起業家マインドです。仕事を与えられるのを待っているのではなく、自らの力で仕事を創り出していくフロンティア・スピリットこそが大切だと私は思っています。

 2015年には、このような意欲・能力をもつ社員をサポートする「社内起業家育成制度」、東急沿線企業のベンチャー事業を支援する「アクセラレートプログラム」を新設し、既にいくつかのプロジェクトが事業化するなど、そのための環境づくりにも力を入れています。

仕事でも大切になる、あなたならではの+αの価値

 この「起業家マインド」に加えて、私がぜひお伝えしたいキーワードが「付加価値創造力」です。たとえばプロフェッショナルのアスリートやアーティストは、素晴らしい競技や演技を見せてくれるばかりでなく、私たちに大きな感動を与えてくれます。私は、そのような+αの価値が、仕事にも必要ではないかと思うのです。その価値には、自分なりに工夫するサービスといった直接的なものもあれば、お客さまが感じる「満足」や「感動」といった間接的なものもあるでしょう。どちらにしても、一歩踏み出して付加価値を創造していくためには、まず自分の仕事を楽しみ、誇りをもって取り組むことが大切です。そして東急グループにこそ、そんなマインドを抱いて仕事に向き合えるフィールドがあると信じています。

 「付加価値創造力」を発揮する仕事をしていくためには、常に高い意識で取り組むことも欠かせません。私は、社員たちに機会あるごとに、「もし」「なぜ」「何のために」を常に意識すべきだと言っています。私は新入社員の頃、「もし、自分が課長だったとしたら?」あるいは「お客様だったとしたら?」と、そして「この仕事は何のためにやるのかな?」と、いつも考えていました。

 なぜ、あなたは私たちの会社を志望しようとしているのでしょうか? どんな仕事にチャレンジしたいのですか? もし、あなたが東急の社員になったら……? チャレンジングで意欲あふれる人材との出会いを、楽しみにしております。

1971年入社/理工学部 土木工学科 卒

入社後まもなく厚木第一地区宅地造成事業を担当。

1988年東急不動産へ出向し、「東急ハーヴェストクラブ」立ち上げに参画。その後、生活情報事業部メディア事業開発部長、経営統括本部メディア事業室統括室長、イッツ・コミュニケーションズ代表取締役社長などを経て、2011年4月、東京急行電鉄取締役社長に就任。2015年6月、東急グループ代表に就任。